2016年10月04日

産科領域の鍼灸治療

不妊症、逆子、つわりなど、産科領域における鍼灸治療はまだ過渡期ではあるものの、大いに国民の健康に貢献できる可能性があり、国際的にも臨床効果が報告されています。一方、WHOガイドライン(1999)には、妊娠に伴う愁訴の改善に鍼灸治療を注意して行う旨が挙げられているだけでなく、妊娠の時期によって避ける部位などについても記載されています。


臨床において、女性を対象とした婦人科領域ではデリケートな問題も多く孕んでおり、さらに産科領域となると母体と子供の双方に影響を及ぼす可能性がある為、とりわけ慎重に取り組まなければなりません。


今回、産科領域における鍼灸治療に詳しい辻内敬子先生をお招きして、臨床における留意点、身体の診方、治療方法、患者のケアなど様々な内容について教えて頂きました。


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鍼灸治療は妊娠中に発生する不快な症状を軽減させてQOLを高めることができ、スムーズに分娩にもっていける可能性があります。また、妊娠する以前、日常から気になっている冷えなどの不快な症状が妊娠や出産に大きな影響を及ぶすことについても注目していく必要があります。
鍼灸師は、患者さんの様々な随伴症状に関する声を傾聴してケアをしていかなくてはなりません。出産に冷えは大敵であり、早産、前期破水、微弱陣痛、遷延分娩となった方に冷え症が多いとの示唆に富んだ報告についても紹介して頂きました。

婦人科領域の日頃のメインテナンス、そして妊娠から出産に至るまでの長い期間、鍼灸治療は多くの場面で貢献することができます。産科領域での鍼灸治療の受療率を上げるためにも、今後、国民への啓蒙活動も積極的にしていく必要があります。


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実技指導では、逆子に関する灸治療(至陰穴への灸刺激)を中心に、より実践的な指導をして頂きました。その他、三陰交への間接灸が分娩所要時間と出血量に及ぼす影響について調査された研究など、今後の養成科学生の臨床や研究に繋がる内容についても触れて頂きました。


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自然治癒力を賦活し且つ安全、安心で副作用の少ない鍼灸治療が多くの患者さんに役立つよう、今後も産科領域の臨床研究も進めていかなくてはなりません。産科領域でよく話題になる不妊症ですが、現在、約26人に1人が不妊治療にかかっている現状もあり、不妊鍼灸ネットワークの組織も設立されています。不妊症の原因は女性だけでなく、男性側の問題も見落としてはなりません。不妊症も含めた産科領域における鍼灸治療は、今後ますます注目されることになるでしょう。


このように専門に特化した領域を究めることも、いまや教員養成科教育の重要なコンテンツとなっています。



posted by 教員養成科教員 at 09:48| Comment(0) | 日記

2016年09月29日

卒業論文中間発表会

 先日、2年生の卒業論文中間発表会が行われ、2年生と教員の他に1年生も参加し、活発な議論が交わされました。

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養成科では2年次に授業の一つとして卒業論文作成があります。

内容は自分で計画を立て、研究を行い、論文作成するといった工程を1年間かけて行うもので、今回の中間発表会は現段階の進捗状況をまとめて発表することとなっています。

論文や研究という言葉を聞くと敬遠される方がいるかもしれません。しかし自分の興味があることを究め、それを継続していくことによって自分流の治療法が生まれ、はたまた論文などで発表することにより周知され、業界の発展にもつながり、それが自分にも還元されるという循環を築けるようになるのが研究だと思います。自分が疑問に思っている事がまだ世の中で知られていないとすれば、自分で調べ、根拠を持ち、先人になるというのも面白いと思いませんか。当校養成科でのそういう先人になるための礎となるような教育を行っていきます。


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さて、少し話が発表とそれてしまいました。


今期の卒業論文ですが、来年の36日(月)午後に本発表となる卒業論文発表会を行う予定ですので、少しでも興味を持たれた方は是非ご来校ください。

(詳細なプログラムは近くなりましたらブログでお知らせします。)

posted by 教員養成科教員 at 12:00| Comment(0) | 日記

2016年09月13日

病院での鍼灸治療

先日、東京大学医学部附属病院のリハビリテーション部鍼灸部門主任の 粕谷大智先生 にご講義頂きました。

東大病院での鍼灸治療の経緯及び鍼灸師の位置づけ、どのような外来患者が受診されるかなど、病院における鍼灸治療の詳細を教えて頂きました。そのほか、卒後、臨床や教育で活躍するうえでも大事なポイントとなる鍼灸治療の安全性やリスク管理についての重要性についても触れて頂きました。チーム医療や統合医療が台頭しているなか、鍼灸師がより本格的に多くの医療スタッフと共通認識のもとにコミュニケーションを図っていくためには、どのようなことが必要なのかを理解することができました。


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頸椎症を中心に実技指導をして頂き、組織別に刺入深度を考慮して治療を行う有用性についても身を持って学ぶことができました。効率的に筋に刺激を与える場合、刺入深度や刺入角度を考慮して行う必要があります。
EBMが重要視される時代、科学的根拠を示した合理的な治療を追求し続ける姿勢は大切なことです。


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臨床、教育、研究の能力を高めることを教員養成科の教育の柱としています。
これらについて、日々携わっている粕谷先生の授業により多くのことを学んだことでしょう!

養成科の学生さんが卒業後、多方面で活躍することを応援しています(^^)」







posted by 教員養成科教員 at 15:52| Comment(0) | 日記